2018/3/27

話題の新ショップと、別格の日本製

今回ご紹介したいのは、去年暮れにオープンしたばかりの、ショップとカフェ・レストラン合体型の新しいお店です。 場所は、マーサー・ストリート(Mercer Street)とキャナル・ストリート(Canal Street)・ハワード・ストリート(Howard Street)の3つの道に面する区画。 10年前には、中華街であった場所ですが、今はソーホーの一部です。 また、ハワード・ストリートは、ミッシェル・バリアン(Michele Varian)やエム・クロー(M. Crow)といった感度の高いデザイン・ショップが集まっています。 そのような立地で、ニューヨーク・タイムズなど多くのメディアで紹介され、注目を集める中、Roman and Williams Guild が開店しました。

話題を集める理由の一つは、共同オーナーのロビン・スタンダファーとステファン・アレッシュ(Robin Standefer and Stephen Alesch)が、ニューヨークを拠点に活躍してきた、著名な建築・インテリアデザイン事務所の経営者である事です。エースホテル(The Ace Hotel)やスタンダードホテル(The Standard Highline)など、ニューヨークを象徴するホテルや、FacebookやWeWork(レンタルオフィススペース)などの企業本社内デザインを手がけてきました。また、二点目としては、カフェ・レストランとショップが一体となり、例えば、カフェで使われている食器やリネンも全て購入できるという新しい試みにあります。

RW GUILDに足を踏み入れると、贅沢で有機的な世界が広がります。優雅でリラックスした雰囲気のカフェ・レストランと、様々な質感と文化を併せ持つ品々が、絶妙なバランスで配置され、アンティークショップとデザイン・ギャラリーを合わせたような空間を作り上げています。

そして、RW GUILDの店内を見回すと、とても多くの日本製を取り扱っている事に気付きます。所謂作家ものもありますが、その他にも、束子や籠、箒、ハサミといった、日本では日常使いされているものも、多く集められています。このような商品は、どのような経緯で、この場所に集められたのでしょうか。店舗の総合デザイン・ディレクションから、日本製品の買付けを任されているアカリ・エンドウ・ガウトさんにお話しをお聞きする事ができました。

まず驚いた事に、店舗で取り扱われている物は、ロビンとステファンが自分たちで買い集め、自宅で使っているものが多いという事です。ハサミなどツール類は、主にステファンが。布や食器、調理器具などは、主にロビンが収集しているとの事。

例えば、ナプキンとして4枚ずつ束ねられているのは、日本では洗い布として売られている和太布(わたふ)です。オーガニックコットンのざっくりした質感が気に入り、ロビンさんが使っているそうです。日本でも現在大人気の商品で、メーカーでも品切れ中で、卸先から仕入れたとのこと。

店内の各所に配置されている、それぞれ味のある籠も日本製です。こちらは、ロビンさんがインスタグラムでフォローしていた「日光土心」という、籠のキューレーターから仕入れた物だそうです。日光土心は、全国の籠生産者を里山や漁村に訪ね、展覧会やインスタグラムを通して、素晴らしい手仕事を紹介しています。

また、店内の一角には、刃物類専用のガラスケースが設置されています。布切り鋏、剪定鋏、肥後守などの刃物は、ほぼ全て日本製です。「刃物類の棚を作る」ということで、アカリさんがリサーチから買付けまで一切を任されました。1000種類以上の刃物から、全体的なバランスを考え選出していくのには、1ヶ月近くを要したそうです。

こういった品々が、RW GUILDオリジナルデザインのベッド(約400万円超)などと、同じスペースで販売されています。日常品とは言っても、関税や輸送料が加算され、日本の2倍以上の価格が付けられています。それでも、これらの商品は、目利きのニューヨーカーに買い求められているようです。

このようなニューヨークのハイエンドショップで、自社製品を取り扱ってもらう方法は?まず大前提として、良いものを作り続けること。本物の価値を認め尊重する人は、日本国外にもいます。そして、海外市場を目指すのであれば、ターゲット市場のテイストやライフスタイル、トレンドを把握しておくことは、もちろん強みになります。RW GUILDのセレクトを見れば分かるように、今は、手作り感が目に見える物が受け入れられています。そして、情報発信は、出会いの機会を増やす為には必要不可欠です。

店名に「guild(ギルド)」と名付ける程、手仕事に愛情を持っているロビンとステファン。彼らにとって、「日本製」は別格だそうです。別格である理由を見つめ直すことが、長期的な将来へ繋がることではないでしょうか。

LINE UP 近年益々プロジェクトが増え続けるMIJP.NY。MIJPアメリカ事業の参画メンバーによるコラムをお届けします。
ニューヨークのリアルな情報を身近に感じつつ、アメリカ市場や日本のモノづくりの可能性をご一緒に探してみませんか。