エクスペリエンス・ストアは“過ごす”がキーワード

アマゾンブックスが店舗を拡大する中で、アメリカ最大の書店チェーン、 “バーンズ・アンド・ノーブル”が新たなコンセプトショップの展開に乗り出しました。ニューヨーク郊外の高級住宅地スカースデールに新しくオープンした店舗には、アメリカンスタイルの食事ができるレストラン“バーンズ・アンド・ノーブル・キッチン”、そして地元のクラフトビールやワインが飲めるバーが併設されています。また、同店では店舗を訪れた人たちがくつろげる環境の提供を重要視していて、ファイヤーピット(暖炉)やバッチコート(イタリアのボーリング)のある外庭パティオもあり、広々とした空間で読書好きな人たちと過ごせるコミュニティースペースが人気を集めています。

店内のいたるところに、座り心地のよい椅子が用意されている

このバーンズ・アンド・ノーブルの新店舗の狙いは、書店をただ本を購入する場所ではなく、顧客が読みたい本を探す体験も楽しめて、本が読みたくなる快適な場所を提供する、という 『過ごす書店』スタイルの店舗展開です。オンラインのブックストアでスタートし、今では本以外に34カテゴリーの商品を販売、AI搭載のスマートスピーカー「アマゾン・エコー」まで発売を始めた巨大企業アマゾンを相手に、本の専門店であるバーンズ・アンド・ノーブルが勝つ術? それはデジタルによるサービスの強化ではなく、フィジカル書店だからできるサービス強化なのだと、結論が出たようです。

デジタルネイティブと呼ばれるミレニアル世代もジェネレーションZも、本はアナログで読むほうがいい、とする傾向が強いと報告されています。オンラインビジネスの拡大が続く中、この“アナログ体験”をどう実店舗で演出できるか、が来店率を上げる鍵と言えそうですね。

前菜からメインまでカジュアルスタイルで楽しめるレストラン

NY地元のクラフトビールとワイン、本格コーヒーが味わえる

Eiko Fujiwara:マーケティングコミュニケーション担当

常に最先端のマーケティング戦略を実践し、世界から注目されているアメリカ。そこでいまヒットしている・話題になっている企業や店舗は、顧客獲得のために、どんなプロモーションを、どんな工夫をしているのか。また、アメリカ市場の拡大を牽引する、ミレニアル世代、そしてジェネレーションZと呼ばれるデジタル世代に受け入れられている理由をさぐり、現地からレポートします。
All Photo by Eiko Fujiwara

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