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History
器の用途は料理や飲み物を盛ることです。シンプルな器であれば、何を盛っても無難におさまります。しかし使い勝手の良さだけが器の魅力ではありません。「この器があるだけで明るく楽しい食卓になる」そんな器がもっとあっても良いのではないか。皓洋窯の当代は考えました。
料亭向けの、いわばよそ行きの器を得意としてきた有田ですが、皓洋窯では先々代は徳利と盃を、先代は酒器に合う小鉢とともに料亭向けよりも素朴な味わいを出した家庭用食器の生産を始めました。大家族が減り、一人で食べる孤食という言葉も生まれる時代、そんな時代だからこそ楽しい食卓を器で創りたい。当代がイメージしたのは、目の前に並んだだけで嬉しくなる、例えば、何気ない日々の食事も一つひとつの料理が美味しそうに見えて箸が進む、そんな器です。
昨今、一つで何通りにも使える器が好まれています。そうした使い手のシンプル志向に合わず、手間もかかる多色使いの「染錦」の器は作り手側も敬遠してきました。それでもあえて勝負してみようと思ったのは、シンプルな器の中に一つでも多色使いの器が入ることで、食卓に華やかな彩りが生まれるからです。伝統的な有田の色を今の人の好みに合わせて組み合わせ、和食はもちろん洋食やお菓子にも合う、どこか懐かしく、それでいて新しい多色使いの器を作ります。器が変わると食べることへの気持ちも変わります。食生活の乱れが心と体の健康に良くないことは誰もが知っていても、なかなか日々の忙しさに取り紛れて、改められないもの。だからこそ器が本来持っている力を発揮すべきだと、当代は考えます。それは料理を引き立たせ、美味しそうに見せる力。
色が多い分、ごくシンプルで使いやすい形とサイズにこだわりました。メイン用・サイド用・小鉢など、サイズ違いの皿を並べると、食べる食材やおかずの数も自然に多彩になるはずです。何にでも使える器の便利さも悪くありませんが、用途のある器をそろえることの意味を再発見できるよう、組み合わせて使えるシリーズにしてあります。
普段の何気ない食卓をうきうきする空間に変える器。有田の伝統的な「染錦」という多色使いの魅力を、今の食卓に花開かせる器。そんな気持ちを込めて「irodoru」と名付けました。一輪挿しの花のように一つ置いて、または花束のようにいくつも並べて、その日の気分で彩りを楽しむ。彩りの美しさが、使う人の心を明るく元気にしてくれるように。そんな願いも込めたブランド名です。
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Philosophy
「つたうプロジェクト」では、新しい商品やブランドをつくるだけでなく、それぞれに自分達のものづくりの歴史をたどり、その中で見えてきた個々の強みを再認識するとともに、自分達の誇れる「強み」をはっきり意識することで新たなステージに向かうエネルギーを得て、リブランディングに取り組みました。
ARITAの新しい未来に向けて、自分達つくり手や企業がどうあるべきかを 改めてじっくりと、そして真剣に考えました。そうして作成した新しい「企業理念」にこめられた、私達のものづくりへの「想い」を届けます。 - 皓洋窯 Facebook ページ